Vol.2 『本当にTOEFLよりIELTSの方が簡単か』

IELTS講師の小玉です。このコラムではIELTS受験者のための情報をお伝えしていきます。私自身もIELTSの授業を担当しつつ、毎年4回程度は本試験を受けています。その中でお役に立てると思ったことをお伝えします。


IELTSの相談を受けるときに、なぜTOEFLではなくIELTSを選んだのか尋ねると「TOEFLより簡単だと聞いた」と答える方が相当数いらっしゃいます。また、TOEFLの勉強を始めたもののスコアが伸び悩み、IELTSに移る方も多いです。

本当にTOEFLよりIELTSの方が簡単なのでしょうか。ひとことで答えるなら「人による」です。同じ4セクションある英語試験ですが、形式が異なる以上、得手不得手はあります。

どんな人がIELTSに向いているのか、TOEFLと比べながらセクション別に見ていきましょう。

 

全体

TOEFLはリスニングが大切と言われます。スピーキングとライティングでもリスニング部分があるからです。その点、IELTSは各セクション独立しているので、お互いが影響を与え合うことはないはずです。

ただ、強いて言うならIELTSはリーディング力が勝負です。リスニングでは問題の先読み、ライティングでは設問を正確に理解する力が必要だからです。また、会話力が元々高い人はスピーキングでスコアを取りやすく、それがオーバーオールのスコアを引き上げることに繋がります。

 

リスニング

大きな違いは2つ。問題の出され方と問われる部分です。TOEFLは問題が後出しで、細部は問われません。極端な話、じっと目を閉じて聞いても、ある程度の正解率を出すことも可能です。

IELTSは問題が先出しで、細部ばかりが問われます。聞いたそばから答えを書いて、すぐに忘れて次に集中。この繰り返しです。じっと10秒くらい考えて、流れから予想して、選択肢を消して、これが正解だ!はIELTSでは通用しません。

IELTSの問題形式は書き取り問題と選択問題に大別できます。書き取り問題は本文中の単語や数字を書きますから、1単語ずつを聞き取る耳が必要。選択問題でも大きな流れではなく、本当に細かいところが問われます。聞いてすぐに意味を捉える力が必要です。

 

リーディング

両試験ともに、ここでスコアを引き上げられるかが勝負になります。TOEFLの方が短く難易度が高い文が出題されます。IELTSは若干長いですが、読みやすいです。専門的に突っ込んだものは出題されません。

TOEFLの問題形式は毎パッセージほぼ同じです。ですから対策しやすい、言い換えると、対策し甲斐があります。必ず出るわけですから。IELTSも様々な問題形式がありますが、毎回の試験で必ず出るとは限りません。headings問題が苦手だったから対策してもう完璧、だとしても次の試験で出ない可能性もあります。過去にはNot-Given問題が1問もなかったこともあります。

また、リスニングと同じく、IELTSの方が細部を問われます。単語の抜き出し問題もあり、文の流れを必ずしも追わなくても、満点が取れます。

 

ライティング

真っ先に思いつくのがTOEFLはタイプ、IELTSは手書きということでしょう。しかしそれ以上に大きな違いがあります。TOEFLではスコアを稼ぐべきセクション、IELTSでは失点を抑えるセクションだということです。

TOEFLのライティングの採点は甘いです。満点(30)も狙えます。Independentでは正確な文法である程度の語数を書ければ点をもらえます。IntegratedもIndependentも形式は毎回同じですから、書き方を覚えてしまえば大丈夫です。

IELTSは採点が非常に辛いです。満点(9.0)は無理です(ただしGeneralなら可能)。7.0が取れれば大満足と思ってください。問題形式はTask 1もTask 2も多岐に渡ります。全てについて必要な表現を覚えるのは時間がかかるので、頻出のものを優先すべきでしょう。その場で課題を正確に理解し、分かりやすく書けることが大前提です。テンプレは基本的には通用しません。

TOEFLでテンプレを一生懸命覚えてもIndependentでFairからぎりぎりのGood、という人はIELTSで相当苦労することを覚悟してください。

 

スピーキング

パソコンに吹き込むTOEFLと、面接官と1対1のIELTSという大きな違いがあります。TOEFLの方が6問の問題形式が決まっており、対策しやすいです。IELTSは様々な話題について聞かれたことに答えるので、会話力自体を上げるしかありません。

IELTSの問題点は、聞かれる内容が自分に合うかどうかが運次第であることです。私は音楽にはあまり興味がないので、Talk about your favorite band/singer.と言われても困ってしまいます。中学生の英語の授業で聴いたビートルズのことでも喋るしかありません。

もちろん、全て正直に答える必要はなく、誇張(つまり、嘘)を含めて喋り続ければ大丈夫です。答えの内容が採点に影響されることはありません。しかし、お題によって、そして試験官によって非常にスコアが変わりやすいです。

IELTSでは基礎的な会話力の有無がこのセクションでの成否を分けます。ここで大きく点を下げるようだと、オーバーオールのスコアをとるのに苦労することになります。

 

スコアの比較

一般的な比較表とは異なるかもしれませんが、ひとつの目安としてご覧ください。

IELTSとTOEFLの換算表(独自)

IELTSTOEFL
8.0110
7.5100
7.095
6.585
6.070
5.560
 

最後まで読んで、「結局、TOEFLとIELTSではどっちがいいんだ」と思った方。まずは実際に問題を解いてみて、自分に合う方を選んでください。もちろん、目標スコアの比較もお忘れなく。当校でも無料のレベルチェックや相談をお受けしています。

2015年3月10日
IELTS講師 小玉

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